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法律上の権利の「登記」や資格の「登録」のほか、会社・社団・財団といった「法人」に関する登記にも課税されます。
NPO法人も「法人」の一種ですし、その設立には登記を必要とします(特定非営利活動法人促進法7条)。
というより現行の登録免許税法では課税できないんです。
登録免許税の具体的な課税範囲は登録免許税法という法律の「別表1」に列挙されています(登録免許税法2条、別表1)。
したがって、別表に列挙されていない「登記」や「登録」に国が登録免許税を課税することは法律に違反することになります。
租税法律主義を掲げる憲法にも違反します(ブログ「憲法記念日に思う」参照)。
「別表1」(最終改正平成29年6月23日)を見ると、課税対象とされる登記・登録などが延々と税率とともに列挙されています。
大項目だけで160あります。
それが中・小項目に細分化されてますから、全体ではものすごい数です(数える気にもなりません)。
24番目の大項目に「会社又は外国会社の商業登記」があります。
続いて「特定目的会社の登記」(25項)、「投資法人の登記」(26項)があります。
「法人」の登記関係はこれだけです。
その他の項目をみてもNPO法人を指す「特定非営利活動法人」という用語がでてきません。
そして、24項にいう「会社」とは、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、一般社団法人(公益社団法人を除く)、一般財団法人(公益財団法人を除く)と日本で保険業を営む相互会社に限られていますから、NPO法人はこれらにいずれにも該当しません。
ということで「別表1」にリストされていないNPO法人の登記には登録免許税は課税できないのです。
このように法律に根拠がないために課税できないことを「非課税」と呼ぶ人が多いのですが、正しくは「不課税」です。
「非課税」とは課税範囲にあるものを政策的に課税対象から外すことをいいます。
ちなみに「免税」とは課税範囲にあるものの、実際に課税することを免除することをいいます。
いいかえると、まず課税範囲を定めて、そこから「非課税」になるものを除いた残りが「課税」対象です。
「課税」対象の一部が「免税」になるというイメージです。
最初から登録免許税の課税範囲(別表1)に入っていないNPO法人の登記は「不課税」ですね。
印紙税法もその別表で課税範囲(課税物件)を定めていますが、課税される定款は「会社(相互会社を含む。)の設立のときに作成される定款の原本に限る」と規定しています(印紙税法2条、別表1第6号)。
ここにいう「会社」とは株式会社、合名会社、合資会社、合同会社又は相互会社に限定されており(印紙税法基本通達別表1第6号文書の1)、登録免許税法上の「会社」より範囲が狭くなっています。
いずれにしても、NPO法人(特定非営利活動法人)はここにいう「会社」含まれませんから、設立時に作成するNPO法人の定款に印紙税は課税されません(不課税)。
その意味で「印紙税無料」という説明は明らかな間違えとまではいえませんが、それは設立登記の段階ではなく、定款作成段階でのお話しです。
ちょっと細かすぎましたかね・・・