Takashi Yamaguchi, English Speaking Japanese Tax Accountant

嫉妬の税制

17・8年くらい前のことですが、サラリーマン時代に上司が税金に関する本を出版しました。
その中に出てきた「嫉妬の税制」という言葉が印象的でした。

個人情報保護が当然の今からすると信じがたいことですが、当時は高額納税者(所得税額が年1,000万円超)の氏名が法律に基づいて公示されていました。
当初の目的は、「あんなに儲けている奴が高額納税者に入っていないのはおかしい!脱税しているに違いない!」という第三者からの情報提供(つまり、密告)を促すことにあったようです。
まさに、人の嫉妬心を利用した脱税監視体制といえます。

公示制度は2005年に廃止されましたが、それまでは「政治家部門」、「スポーツ選手部門」、「芸能人部門」とかジャンル別に高額納税者ランキングがテレビや新聞で堂々と公表されていました。
公示された納税者やその家族が身代金目的誘拐のターゲットになるのではないかとの懸念もあり、外国からは「Kidnap List」とも呼ばれていたそうです。
正直に申告した高額納税者をリスクにさらしながら、密告を促すとは、ひどい制度だと思いませんか?
廃止されてほんとによかったです。
存続していたとしても、ヤマグチには関係なかったとは思いますが…

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