Takashi Yamaguchi, English Speaking Japanese Tax Accountant
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税務調査における「見解の相違」と「スポーツマンシップ」

アメフトでのラフプレイ(というよりは傷害行為)が大変な騒ぎになっております。
加害選手の謝罪会見は被害選手側に受け入れられたようですが、監督側のコメントは歯切れが悪く、被害選手側だけでなく社会一般にも受け入れられそうにありません。
真実がどうであったかわからない時点で自己批判的なコメントをしたくないという気持ちはわからなくもありません。
しかし、自分の教え子に対して「思いやり」のかけらもない対応が「炎上」を引き起こしました。

これは「見解の相違」の問題?

監督側にラフプレイの端緒があったことは事実と思われます。
その事実は決定的な一言ではなく、これまでのいろいろな経緯の積み重ねから生じたもののようです。
だからこそ、対立する当事者間で事実の見方(解釈)が異なり、側から見ていると何が「真実」かわかりません。
「真実」は一つですが、それを見る人の見解(受け止め方)によって「事実」は異なります。
人の数だけ「事実」があるといえます。
大多数の見解が一致して通説化すると、それが「常識」や「社会通念」になります。
この「社会通念」には「あたりまえ」的なものから「どちらかといえば」的なものまであって、解釈の余地が残されています。
税務の世界でも「社会通念に照らして…」という言い回しはよく使われますが、その解釈には幅があるためにしばしば納税者と課税庁との間に「見解の相違」が生じます。
企業などの申告漏れをマスコミが報じるときに、企業側のコメントとして「当局の間で見解の相違があった」などと報じられるのを目にしたことがありますね。アレです。
そのようなコメントには「ホントは違うんだけど、相手がそう言い張っている」というニュアンスが読み取れます。
アメフトの一件でも、監督側の発言には「自分たちは直接加害行為に加わっていない(法律上の責任はない)けど、加害選手が自分のせいだと言い張っているから道義的責任を感じております」というニュアンスがモロにでています。

スポーツマンシップの問題では?

社会人であれば「法律上の責任」はなくても「社会的責任」や「道義的責任」を問われることは当然です。
子供や社員の不祥事で親や会社に法的責任はなくても、思い当たるところがあれば誠実に対応すべきです。
逆に、いわれのない非難を受けているのであれば、堂々と反論すべきです。
法的責任が「かかれたルール」の世界での責任とすれば、社会的責任や道義的責任は「かかれざるルール」の世界での問題です。
法律上のルールはどうしてでも抽象的にならざるを得ません。
ルールがあまり具体的すぎるとピッタリあてはまらない事例が多くなり、抜け穴だらけになるのを防ぐためです。
そんな中、税法は比較的具体的にルール化されている法律の部類に属します。
なぜなら、どうにでも解釈できるような法律にしてしまうと、課税庁(国家権力)の都合のよい解釈で課税が行われ、国民の財産権が不当に侵害されるおそれがあるからです。
そうと言っても、税法の規定もある程度抽象的にならざるを得ませんから「見解の相違」は後を絶ちません。
しかしながら、当事者が「法律の趣旨」に遡って議論を尽くせば「見解の相違」などというものは解消できると思うのです。
この「法律の趣旨」こそが「かかれざるルール」です。
スポーツの世界においては、ルールとはフェアなゲーム、スポーツマンシップにのっとったゲームを具現化するものといわれます。
ゲームに勝つためだけにルールを杓子定規に適用したり、都合よく解釈することが「恥ずべき行為」として軽蔑されるのは、みんながスポーツマンシップが何たるかを理解しているからです。
スポーツマンシップに立ち返らず小手先のルール解釈で勝とうしたり、「見解の相違」の問題にして議論を打ち切るのはなんとも後味がよろしくないです。

税務調査における「スポーツマンシップ」

同じことは税務調査の場面にもついてもいえます。
本来のルールの趣旨に立ち返って考え、議論を尽くせばよいだけのことです。
真実を隠したり、議論を一方的に打ち切ったりして強引にゲームに勝っても、その後ずーっと勝ち逃げできるとは思いません。
税務調査においても、納税者・課税庁双方に誠実に議論を尽くす権利と義務があります。
それをおざなりにして小手先のテクニックで「勝利」しても、その後ウソが明るみにでて手痛い「しっぺ返し」を食らうような気がするのです。
そんなことありませんかね?
あの監督さんや大学も、今回法的責任を逃れることができても、大きな代償を払うことになると思いませんか?

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