Takashi Yamaguchi, English Speaking Japanese Tax Accountant
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加算税というペナルティー

前回お話しした延滞税(延滞金)は「遅延利息金的」ペナルティーでした。
これに対して加算税は「懲罰的」ペナルティー、いわばレッドカードです。
ちなみに加算税は「罰金」のように本当の刑罰として課されるものではなく、行政罰です。
逋脱犯(脱税犯)のように悪意をもって税金を逃れた人は刑事告発され、刑事裁判を経て懲役刑や罰金刑といった本物の刑罰を受けることになります。もちろん行政罰である延滞税・加算税もしっかり課されます。

加算税には「過少申告加算税」「無申告加算税」「不納付加算税」そして「重加算税」の4つがあります。

過少申告加算税

期限内にちゃんと申告書を提出したものの、その後修正申告をしたり、更正を受けたことで、結果的に当初の申告が過小となった場合に増差税額の10%が課されます(国税通則法(以下「法」)65条1項)。
もっとも、こんなよくありがちなケースに10%の加算税は酷なので、調査の通知を受ける前に自主的に修正申告(いわば自首)したときは過少申告加算税は課されません(法65条5項)

過少申告加算税がされる場合でも、状況に応じて割合が軽減・加重されます。
まず、
調査の通知を受けた後でも、更正を予知しないで自主的に修正申告した場合には5%に軽減されます(法65条1項括弧書)
一方、増差額が期限内申告税額または50万円のいずれか大きい金額を超える場合には、その超える部分については5%加重されます(65条2項)。

場合分けすると、過少申告加算税の割合は以下のようになります。

調査通知前の
修正申告
調査通知後の修正申告 更正
更正を予知せず 更正を予知
原則割合 なし 5% 10% 10%
期限内申告税額
または50万円の
いずれか大きい金額を超える部分
なし 10% 15% 15%

なお、過少申告加算税の計算の基礎となった事実のうちに「正当な理由」があると認められるときは、その事実に基づく税額を控除して過少申告加算税を計算することになっています(65条4項1号)
ここにいう「正当な理由」について判例
(最判平成18年4月20日ほか)は「真に納税者の責めに帰することのできない事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしても、なお、納税者にそれを賦課することが不当または酷になる場合」と判示しています。
これは余程のことがないと認められない高いハードルだと思います。

無申告加算税

法定申告期限内に申告がなかった場合、期限後申告・決定によって確定した税額、もしくは期限後申告・決定後の修正申告・更正によって生じた増差税額の15%が課されます。
ただし、期限内に申告がなされなかったことについて「正当な理由」があると認められるときは課されません(法66条1項本文但書)。
また、法定申告期限から1月を経過する日までに期限後申告書が提出され、かつ、その申告にかかる税額が完納されているなど期限内申告書を提出する意思があったと認められるときにも課されません(法66条7項)。

無申告加算税も事情によって軽減・加重されます。
期限後申告・修正申告が更正・決定を予知してなされたものでないときは10%に軽減されます(法66条1項括弧書)。
税額・
増差税額の合計が50万円を超えるときには、その超える部分については5%加重されます(66条2項)。
ただし、期限後申告・修正申告が更正・決定を予知してなされたものでなく、調査の通知前になされているときは全体が5%に軽減されます(法66条6項)。

場合分けすると、無申告加算税の割合は以下のようになります。

調査通知前の
期限後申告・修正申告
調査通知後の期限後申告・修正申告 更正・決定
更正を予知せず 更正を予知
原則割合 5% 10% 15% 15%
税額・増差税額の合計のうち50万円を超える部分 5% 15% 20% 20%

なお、無申告加算税の計算の基礎となった事実のうちに「正当な理由」があると認められるときは、その事実に基づく税額を控除して過少申告加算税を計算することになっています(法65条5項)。

不納付加算税

源泉徴収等による国税が法定納期限までに完納されなかった場合、納税の告知にかかる税額または法定納期限後に告知を受けることなく納付された税額の10%が課されます(法67条1項)。
ただし、期限内に納付しなかったことについて「正当な理由」があると認められるときは課されません(法67条1項本文但書)。
また、法定納期限から1月内に納付がなされ、かつ、法定納期限までに納付する意思があったと認められるときにも課されません(法67条3項)。
告知を受けることなくした納付が、告知を予知してなされたものでなければ割合は5%に軽減されます(法67条2項)

場合分けすると、不納付加算税の割合は以下のようになります。

告知によらない納付 告知による納付
告知を予知せず 告知を予知
5% 10% 10%

重加算税

過少申告・無申告または不納付が、納付すべき税額の計算の基礎となる事実の全部または一部についての隠蔽または仮装による場合は、過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税に代えて「重加算税」が課されます(法68条)。
不正な手段が用いられた場合のための重い加算税です。

重加算税の割合は以下のとおりです。「常習犯」については10%加重されます(法68条4項)

過少申告 無申告 源泉税の不納付
原則 35% 40% 35%
過去5年以内に無申告加算税または重加算税を課されていた場合 45% 50% 45%

 

***

いかがですか?
ちゃんと申告・納付しなきゃっていう気にさせるに十分な負担ですよね。
重加算税が適用される「不正な手段」が用いられた場合は、先日の延滞税に関するブログででてきた「計算期間の特例」が適用されませんから、納付が遅れた期間全体に延滞税がフルにかかります。
5年間無申告で重加算税が適用されると、本来納付すべき税額の倍近い金額を納付しなければなりません。
隠蔽・仮装など努々御考えなさらぬようご忠告申し上げます。

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