Takashi Yamaguchi, English Speaking Japanese Tax Accountant

年末調整の留意点

12月になりましたね。
いよいよ年調の季節です。
先週、税理士会の研修会で「平成30年分年末調整に関する留意事項」を聞いてきました。
国税庁が公表しているパンフレット「平成30年分年末調整のしかた」に沿った内容でしたが、特に重要と思われる点、パンフレットに書かれていない説明で気になったことを簡単にまとめます。
全体的な解説は、
国税庁のHPに動画がありますので、そちらが参考になります。

本文中のページ番号はパンフレットの該当ページを意味します。

配偶者控除の改正

給与所得者本人の「所得」が1千万円を超えると控除額がゼロになります。
支給額ではなく、そこから給与所得控除などを引いた「所得」レベルでの判定になります。
所得1千万円以下の場合の控除額は、本人と配偶者の所得金額の組み合わせで38万円、26万円、13万円(配偶者が70歳以上の「老人」の場合は48万円、32万円、16万円)の3段階です。
配偶者の所得が38万円(支給額ベースで103万円)を超えると控除額がゼロになるのは従前のとおりです。
(p4、14)

配偶者特別控除の改正

対象となる配偶者の所得金額の上限が123万円以下(支給額ベース201万6千円未満)まで引き上げられました。
控除額は本人と配偶者の所得金額の組み合わせで38万円から1万円まで27段階です。
(p4-5)

配偶者控除等申告書

配偶者控除・配偶者特別控除の適用を受けるために給与の支払者に提出する申告書の様式が変わっています。
この様式を提出しないと年末調整で控除が受けられません。
出し忘れたら確定申告しましょう。

「親族」の範囲

どこまでが「親族」に含まれるかは民法の規定に従うのが原則です(6親等内の血族+配偶者+3親等以内の姻族。民法725条)が、外国籍の方の場合は母国法に従います(法の適用に関する通則法24条~33条)。
「扶養親族」「控除対象扶養親族」「特定扶養親族」「老人扶養親族」「同一生計配偶者」「障がい者(特別障がい者)」「同居特別障がい者」「国外住居親族」の範囲に影響します。
一夫多妻制の国出身の方の「姻族」はかなり広くなりそうです。

配偶者控除・配偶者控除における「配偶者」

一夫多妻制の国出身者の方に複数の配偶者がいても、頭数に応じて配偶者控除・配偶者特別控除の控除額が増えるわけではありません。
控除の要件はあくまでも「配偶者がいること」と「配偶者の所得金額が一定額以下」であって、配偶者の人数や一人当たり所得金額を基準にしていません。
第100婦人までいても、控除額は38万円(老人控除対象配偶者の場合48万円)が上限になります。

「同居」者の範囲

扶養控除という大枠の中で「同居」を要件とする控除が2種類ありますが、誰が誰と同居していれば控除の要件を満たすかそれぞれ微妙に違います。

同居老親等の扶養控除の場合

老人扶養親族のうち所得者の直系尊属、または所得者の配偶者の直系尊属で①所得者または②所得者の配偶者と同居している方が対象です。

同居特別障がい者の扶養控除の場合

同一生計配偶者または扶養親族のうち特別障がい者に該当する人で①所得者、②所得者の配偶者、③所得者と生計を一にするその他の親族、のいずれかと同居している方が対象です。
(p14-16)

寡婦(寡夫)控除と配偶者控除・配偶者特別控除

年の途中で配偶者が亡くなった場合は寡婦(寡夫)控除の適用を受けられますが、要件を満たす限り配偶者控除または配偶者特別控除の重複適用ができます。

住宅ローン控除

住宅取得の翌年以降年末調整で控除を受けている場合、将来分も含めて複数年分の控除証明書が税務署から一括交付され、それらをまとめて給与の支払者に渡していることが多いと思います。
その後転職するときに、未使用の控除証明書を返してもらうのを忘れた(あるいは返してもらえなかった)場合は、税務署が再交付してくれます。
(p37)

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年末だからというわけではないのですが、急ぎの仕事やら雑用やらで今週はあっというまに時間が過ぎてしまいました。
ということで今回のブログは短めです。
かえってこのくらいの方が読みやすいですかね?

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