Takashi Yamaguchi, English Speaking Japanese Tax Accountant

税金の納付方法

申告についてはこれまでのブログで何度となく取り上げてきましたが、その後の納税手続きについてはほとんど言及していないことにハタと気が付きました。
ということで、本日のテーマは税金の払い方です。

国税

国税を納付するには6とおり方法があります。

ダイレクト納付

e-Tax電子申告した場合に利用可能です。
インターネットバンキングを利用していなくてもe-Taxから納税手続きができます。
ただし、事前に「ダイレクト納付利用届出書」を税務署に提出しておく必要があります。
届出から利用できるまで1月ほど時間を要します。
納付日の指定もできます。
事前に税理士に代理権を与えておけば、電子申告を代理した税理士が納付手続きを代行することも可能です。
また、2019年1月4日以降は、複数の預貯金口座について「ダイレクト納付利用届出書」を提出することで、納付時に使用する口座を選択することができるようになります。
納付の仕組みはPay-easyを利用しています。
電子申告のデータからPay-easyを利用する際に必要となる「収納機関番号」「納付番号」「確認番号」「納付区分」「納付合計金額」を自動作成し、金融機関に通知する仕組みになっています。

インターネットバンキングによる納付

e-Taxで電子申告した場合に利用可能です。
ダイレクト納付と同じくPay-easyを利用した支払方法です。
事前届出は不要ですが、納付手続きは納税者自身がインターネットバンキングで行う必要があります。

クレジットカードによる納付

インターネットから専用サイト「国税クレジットカードお支払サイト」で手続きします。
決済手数料がかかります(1万円ごとに税別76円)。

コンビニ納付

税務署から送付された納付書にバーコードが付いている場合に利用可能です。
ただし、納付書一枚で納税できる金額は30万円までに制限されています。
2019年1月4日以降は、国税庁HPのQRコード作成専用画面を利用して納付に必要な情報をQRコード化し、これを使ってコンビニ納付ができるようになります。
これなら、税理士がQRコードを作成し、それを納税者に送付して近所のコンビニで納付してもらうことが可能になります。便利です。

振替納税

税務署に振替依頼書を提出している場合に利用可能です。
ただし、利用できる税目は「申告所得税及び復興特別所得税」「消費税及び地方消費税(個人事業者)」のみなので、法人には使えません。

金融機関の窓口で納付

オールマイティーな方法ですが、国庫金の収納に日本銀行のOCRシステムを利用しているため、日銀が決めた規格(紙質、用紙サイズ、厚さ、フォント)どおりの納付書以外は金融機関が受け付けません。
税務署はこの規格に対応した用紙に、専用プリンターで印字して納付書を作成して納税者に送付しています。
税務署以外ではこれらの規格に対応した納付書を作成できず、申告ソフトで印刷した国税の納付書の「イメージ」は、あくまでの指定納付書への「転記用」としてしか使えません。

地方税

国税に比べると電子納税は大幅に遅れています。
全ての地方団体に対して法人関係の電子申告(eLTAXを利用)が可能になった現在でも、電子納税に対応している自治体は以下の22団体のみです(2018年11月7日現在)。

都道府県税 岩手県、宮城県、埼玉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、奈良県、島根県、岡山県
市町村税 仙台市、横浜市、川崎市、名古屋市、豊橋市、岡崎市、豊田市、愛荘町、大阪市、福岡市

上記以外の自治体への納税は紙の納付書を使って金融機関、コンビニ(バーコード付き納付書の場合)で納付するしかありません。

幸いなことに、国税とちがって法人関係の地方税の納付書は、規格どおりの書式になっていれば、エクセルや申告ソフトで作成してプリンターで印刷したものでも金融機関で受け付けてもらえます。

現在、地方税電子化協議会というところで全国共通の地方税電子納税システムの開発を進めているようです。
これができると電子納税に対応してくれる自治体が増えるかもしれません。

(2020年5月8日加筆)
2019年10月に「地方税共通納税システム」が稼働したことで、全国の自治体に電子納税できるようになっています。
ただし、すべての地方税を電子納税できるわけではありません。
現時点(2020年5月8日現在)での電子納税の対象税目は以下のとおりです。
なお、電子申告していない税目については見込納付・みなし納付しかできません。
確定税額の納付データは申告データから連動して作成する仕組みになっているため、残念ながら紙ベースで申告したときは確定税額の電子納税できません。

  • 法人都道府県民税
  • 法人事業税
  • 特別法人事業税(地方法人特別税)
  • 法人市町村民税
  • 事業所税
  • 個人住民税(給与からの特別徴収分のみ)

詳しくはこちらをご参照ください。

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日本に住んでいる外国人にとっては申告・納付手続きのハードルは高いです。
税理士に申告を代理させても納税は自分でしなければならないので、日本語がわからない方は納付書の書き方や金融機関での手続きで苦労することが多いと思います。
そういう方々にとって、QRコードを使って納税できるようになることは大きな助けになるはずです。

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