先週金曜日(12月14日)に今年の税理士試験の合格発表がありました。
合格された皆様、本当におめでとうございます。
残念な結果になってしまった方、落ち込まないでください。
税理士試験は「継続は力なり」がそのまま当てはまります。
これまでの努力はけっして無駄になりません。来年もがんばりましょう。
ということで、今日のテーマは「税理士試験」です。
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税理士という職業の社会的認知度はけっして低くはないと思うのですが、税理士試験についてはあまり知られていないでしょう。
税理士試験は年に1回実施されますが、その受験者数と合格者数ってどのくらいかご存知でしょうか?
直近5年間の受験者数と合格者数の推移はこんな感じです。
ここで二つの合格者数がでてきますが、これこそが税理士試験制度の特徴を表しています。
税理士試験は、以下の科目で構成されています。
必修会計科目:簿記論、財務諸表論
選択必修税法科目:所得税法、法人税法
選択税法科目:相続税法、消費税法・酒税法のいずれか1科目、国税徴収法、住民税・事業税のいずれか1科目、固定資産税
これら11科目(実質9科目)のうち5科目に合格すると試験合格者として官報に受験番号が載り、合格証書がもらえます。そのため「官報合格者」と呼ばれたりします。
一度に5科目合格する必要はなく、一科目ごとに合否が判定されます。
4科目以下合格者が「一部科目合格者」などと呼ばれています。
それゆえ、合格者数も二種類発表されているのです。
上記の受験者数は複数科目を受験する人を一人としてカウントした「実人員」ベースです。
官報合格者を単純に実人数で割ると合格率2%台ということになり「超難関」に見えますが、それは正しい見立てとはいえません。
なぜなら、先ほど申し上げたように、税理士試験は一度に5科目に合格する必要はないので、受験者のほとんどが科目合格を狙っており、官報合格者のほぼ全員を過年度の試験の科目合格者が占めているからです。
国税庁のHPをみても一度の受験での合格科目数まで公表されていないので、正確なデータはありませんが、1回で5科目に合格する人は稀だと思います。
ヤマグチが受験していたころは毎年一桁といわれていました。
科目ごとの合格率(各科目の合格者数÷その科目の受験者数)はいずれも10%を超えるのが普通です。
科目合格者数を科目受験者数(いずれも延べ数)で割ると合格率12.8%です。
これを税理士試験の合格率(難易度)とみるべきではないでしょうか。
12.8%という割合はけっして「超難関」ではないと私は思います。
しかも、司法試験のように受験回数に制限があるわけではないで、あきらめずに勉強を続けて実力をつけていけば、現実的に合格を見込める程度の難易度といえます。
冒頭で「継続は力なり」がそのまま当てはまる…と申し上げたのは、単なる慰めではなく、事実だからです。
今年の受験者数(実員数)は30,850人でした。
私が受験していた平成ひとケタ年代は6万人くらいだったので、ほぼ半減です。
税理士の飽和状態(過当競争)、合否基準があいまいな試験制度、短期合格が難しい、といったネガティブなイメージが若い世代に定着しているという話しを聞きますが、何が主因かは不明です。
たしかに、上表の受験者数をみても直近5年は右肩下がりです。
一方、41歳以上の受験者数だけは安定的に1万1千人台をキープしています。
受験者の受験歴のデータがないので、あくまでも私の推測ですが、短期決戦型の若者浪人に敬遠され、働きながら長期計画で合格を狙う中年層が主流になっているように感じます。
「継続は力なり」は裏を返せば、ベテラン受験者を呼び寄せ、「継続しないと受からない」傾向になるおそれもあります。
試験の内容を変えない限りはこの傾向は変わらないでしょうね。
巷では医学部入試の合否判定に男女差を設けている大学が問題になっていますが、税理士試験ではどうでしょう?
男女別に合格率を出してみました。
一部科目の合格率は直近5年間で常に女性が優位にありました。
ただし、極端な差があるわけではないので、なにか女性を優遇しているというわけではなさそうです(当たり前ですけど)。
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先週金曜に税理士試験の合格発表があったと聞き「いつもより早くね?」と思いました。
自分の合格証書の(1996年)で確認したら12月18日でした。
いっしょに数年分の「一部科目合格通知書」もでてきました。こちらは20日過ぎでした。
ヤマグチは「一部科目合格」の時代が長かったので、発表はクリスマス前という刷り込みができてしまっていたようです。
ともかく、受かった方も、そうでなかった方も、メリークリスマスです。