2020-06-07
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納税額だけでなく申告のための作業負担が増えます。
この「1000万円」基準は会社の資本金が1000万円未満の場合に影響します。
耐用年数を通して計上できる償却費の総額はいずれの方法でも同じですから、どちらが有利かは償却費を計上する各年の所得の出かたによります。
償却方法を選択しない場合は申告上定額法による計算が強制されます。
なお、特殊な用途の設備(鉱業用設備など)の償却方法については選択・強制される償却方法が異なります。
償却方法の選択は税務署長に対して届出しなければ効力がありません。
届出はその資産を取得した日の属する年・事業年度の申告期限までにする必要があります(所得税法施行令123条2項、法人税法施行令51条2項)。
どちらが有利かは所得金額や納税額によって変わってくるので一概に決められませんが、毎年所得と納税額がでていて今後もしばらくは納税額がでると見込まれる場合は「特別控除」を選択した方が有利になるのが一般的です。
政策的にある用途・目的・地域への設備投資を促進する税制なので、個々の制度ごとに対象となる設備のスペックが細かく規定されています。
制度の名称 | 適用対象 | 適用期限 | |
個人 | 法人 | ||
医療用機器の特別償却 | 12条の2 | 45条の2 | 平成31年3月31日 |
沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除 | 42条の9 | 平成31年3月31日 | |
革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却又は特別控除 | 10条の5 の5 |
42条の 12の6 |
平成33年3月31日 |
関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却 | 44条 | 平成31年3月31日 | |
企業主導型保育施設用資産の割増償却 | 13条の3 | 47条 | 平成32年3月31日 |
共同利用施設の特別償却 | 44条の3 | 平成31年3月31日 | |
高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は特別控除 | 10条の2 | 42条の5 | 平成32年3月31日 |
国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は法人税額の特別控除 | 42条の 10 |
平成32年3月31日 | |
国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除 | 42条の 11 |
平成32年3月31日 | |
事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却 | 13条の2 | 46条の2 | 平成31年3月31日 |
障害者を雇用する場合の機械等の割増償却 | 13条 | 46条 | 平成32年3月31日 |
情報流通円滑化設備の特別償却 | 44条の5 | 平成32年3月31日 | |
倉庫用建物等の割増償却 | 15条 | 48条 | 平成32年3月31日 |
耐震基準適合建物等の特別償却 | 43条の2 | 平成32年3月31日 | |
地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は特別控除 | 10条の4 | 42条の 11の2 |
平成31年3月31日 |
地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は特別控除 | 10条の4 の2 |
42条の 11の3 |
平成31年3月31日 |
中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除 | 42条の6 | 平成32年3月31日 | |
中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除 | 42条の 12の4 |
平成31年3月31日 | |
中小事業者が機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 | 10条の3 | 平成31年3月31日 | |
特定設備等の特別償却 | 11条 | 43条 | 設備ごとに財務大臣が指定 |
特定地域における工業用機械等の特別償却 | 12条 | 45条 | 平成31年3月31日まで |
特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除 | 42条の 12の3 |
平成31年3月31日まで | |
特定中小事業者が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 | 10条の5 の2 |
平成31年3月31日まで | |
特定中小事業者が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 | 10条の5 の3 |
平成31年3月31日まで | |
特定都市再生建築物等の割増償却 | 14条 | 47条の2 | 平成31年3月31日まで |
被災代替資産等の特別償却 | 11条の3 | 43条の3 | 災害発生日から一定期間 |
法人向けの措置は「特別勘定」や「圧縮記帳」という特殊な経理処理が要件になりますから、期末決算前から経理処理を検討しておく必要があります。
個人事業者向け
所得税法 | 制度の名称 |
42条 | 国庫補助金等の総収入金額不算入 |
43条 | 条件付国庫補助金等の総収入金額不算入 |
44条 | 移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入 |
58条 | 固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例 |
法人向け
法人税法 | 制度の名称 |
42条 | 国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入 |
43条 | 国庫補助金等に係る特別勘定の金額の損金算入 |
44条 | 特別勘定を設けた場合の国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入 |
45条 | 工事負担金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入 |
46条 | 非出資組合が賦課金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入 |
47条 | 保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入 |
48条 | 保険差益等に係る特別勘定の金額の損金算入 |
49条 | 特別勘定を設けた場合の保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入 |
50条 | 交換により取得した資産の圧縮額の損金算入 |