Takashi Yamaguchi, English Speaking Japanese Tax Accountant
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親孝行は会計事務所泣かせ?

8月は今日で終わりです。
まだまだ暑い日が続きそうですが、四季のうえでは明日から秋です。
これからだんだん日が短くなり、秋が深まると「年末」という言葉が聞かれるようになるんでしょうね。
ヤマグチは「年末」と聞くと所得税の「年末調整」そして「法定調書」を想像してしまいます。
それは税理士だからというよりは、あるトラウマ的な経験がそうさせているのです。

年が明けたら「法定調書」

「来年の話しをすると鬼が笑う」といいます。笑わしてやりましょう。
年明け一発目の税務関係書類の締め切りは1月末の「法定調書」の税務署等への提出です。

「法定調書」とは法定調書とは、「所得税法」、「相続税法」、「租税特別措置法」及び「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」の規定により税務署に提出が義務づけられている資料をいいます。
具体的には「支払調書」「支払通知書」「源泉徴収票」などです。
個別の法律には「法定調書」という用語はでてきませんが、法律で提出義務が定められていることから一般に「法定調書」と呼ばれています。

これらの資料は原則として暦年(1月から12月)単位で作成するものなので、年内に手をつけるわけにはいかず、年明けをまって1月足らずで仕上げなければなりません。
この短期決戦型の作業が結構な負担になっている会社・個人事業者さんは多いと思います。
ということで、この作業を会計事務所に外注される方も多いです。
たしかに、記帳代行と給与計算を税理士に外注している場合は、情報をもっている税理士側に作成させた方が効率的かもしれません。
しかし、税理士が経費支払いや給与計算を請け負っていない場合に支払調書だけ外注するのはどうかな?と私は思います。
「法定調書」は情報を持っている人が自分で作成するのがベストです。

「地獄の150人ペイロール」

法定調書の中でも手間がかかるのは「給与所得の源泉徴収票」です。
年末調整を済ませてからでないと作成できないので、12月分の給与計算に修正・変更があると、源泉徴収票も作り直さなければなりません。

ヤマグチも会計事務所勤務時代に150人ほどを雇用するある会社さんの給与計算と源泉徴収票の作成を担当したのですが、けっこう大変でした。
それだけの社員数があると、給与計算が終わったころに会社さんから「〇〇の残業時間に変更があります」とか「○○の扶養親族に変更があります」とか連絡が入ることがしょっちゅうでした。
一方、全員の給与計算が終わらないと会社さんから社員さんへの給与振り込みができないので、連絡を受けてから指定の期日までに再計算を間に合わすために徹夜になることもありました。
これは再計算そのものが大変というより、若手(ジュニアスタッフ)→経験者(シニアスタッフ)→マネージャー(責任者)と順番に内部レヴューを経てからでないとお客さんにデータを渡せないルールになっていたので、お客さんとの約束の期日に間に合わせるには通常業務をこなした後で翌朝までに再計算する必要があったためです。
こんな事情もあって、この会社さんを長期間担当するのは担当するジュニア・スタッフの精神的負担が重いということで、比較的短期間ごとに持ち回りで担当者を代えていました。
スタッフの間では「地獄の150人ペイロール(給与計算)」と呼ばれる業務で、これにあたると「お勤めご苦労様です」と慰められたものです。

通常月でも大変な業務なので、年末近くなると誰がこの「地獄の‥」の年末調整と源泉徴収票を担当することになるのかスタッフは戦々恐々でした。
私はある年の年末・年始に担当になりましたが、予想に反してその年の12月は一切変更がありませんでした。
おかげさまで同僚に「ヤマグチ超ラッキーじゃん」などと祝福され安心して年末を過ごすことができました。
これならいけると思って年内に源泉徴収票も作り始め、仕事納め前には大方準備を終えていました。

こんにちわ、赤ちゃん

年明け朝早く事務所にいくと、まだ薄暗いオフィスで私の電話のメッセージランプが点灯しています。
胸騒ぎを抑えつつ留守電を聞くと、12月末に150分の1人に赤ちゃんが生まれたという連絡でした。
やっぱりね。年末調整やり直しです。
ま、想定の範囲内です。
12月の給与支払い後のことなので、再年調後の税額との差額調整は1月の給与計算に反映させるしかなく、むしろ時間に余裕ができてラッキーでした。
会社さんに確認の電話の際にも「あけましておめでとうございます。このたびは○○さまにお子様がお生まれになったそうで重ね重ねおめでとうございます。」と嫌味なく本心からお慶び申し上げました。
急いで再年調に取りかかり、源泉徴収票も変更です。
シニアスタッフ、マネージャーのレビューのスケジュールもおさえました。
この分なら1月の給与計算前には再年調と源泉徴収票の作成も終わりそうです。
万事オッケー‥のはずでした。

ベビーブームに泣く

予定通り1月の給与計算前に再年調を終え、源泉徴収票も含めてすべてのレヴューが終わろうとしていたとき、会社さんから追加変更の連絡が入りました。
年末年始の長期休暇中に新しい家族が増えた社員さんがもう2人いることが判明したそうです。
再々年調と源泉徴収票差し替え決定の瞬間です。
レヴューを終えたばかりのマネージャーも力なく笑ってます。
1月の給与計算と再々年調が重なって一気に忙しくなりました。
担当スタッフも大変ですが、他の業務もレヴューしなければならないマネージャーのスケジュールもタイトになります。

何とか再々年調を終えて、レヴューに回した直後に、また会社から連絡です。
催促の電話かと思ったら、他にも年末にお子さんが生まれた社員さんがいて、いま人事に報告があったという連絡です。
再々々年調です。
レヴュー中のシニア・スタッフに報告すると「このままでは1月のペイロールが終わらん。会社には1月のペイロールに反映できるのは再々年調までで、最後の一人分は2月に回すって言っといて」と半ばキレ気味です。

会社さんに連絡すると「そこをなんとか1月に反映して‥」と頼み込まれてしまい、結局ヤマグチもシニアさんも徹夜になりました。
当時(25年前に)使っていた給与計算システムは給与明細・源泉徴収票の専用紙にドッドプリンター(インクリボン式。若い方はご存じないでしょうね。)で出力するものでした。
このプリンターと専用紙の相性が悪くて、印刷の途中で印字がズレたり、用紙が詰まって止まることが良くありました。
20~30人分くらいなら、うまく最後まで印刷できるのですが、150人分を一気に終わらせることはできないので、ずっとプリンターを見張っていなければなりません。
印字がズレるたび、用紙が詰まるたびやり直しです。
夜中にそんなことを繰り返すうちに本当に泣けてきました。
おもわず投げ飛ばしたいという衝動にかられてプリンターに手をかけたとき、シニアさんに「やめてくれぇ!そのプリンター俺も使うだそおぉ!」羽交い絞めにされました。
まさに「地獄」です。

なんとか期限に間に合わすことができて、よかったんですが、本当に疲れました。

***

会計事務所時代の友人と飲みにいくと、いまでも「地獄の150人ペイロール」と「プリンター破壊未遂事件」をネタにされます。
ちなみに、ヤマグチ家の二女は12月28日生まれです。
わずか4日でまるまる一年分の扶養控除ができたのですから「親孝行」です。
一方、そのせいで再年調の作業をすることになっただれかを泣かせてしまったのかもしれません。

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