サンドイッチの次はビスケットです。
ヤマグチは子供の頃から森永の「ムーンライト」が好きです。
ちなみに、英語圏で”moonlight”といえば「仕事を掛け持ちする」「夜間アルバイトをする」という意味の動詞としても通用します。
ということで、今日のテーマは副業と所得税の確定申告です。
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なにを「本業」と呼ぶかは人それぞれでしょうが、ここでは会社勤めを「本業」、アルバイトなどその他の仕事を「副業」と呼ぶことにします。
年末調整の対象となるサラリーマンや年金受給者は所得税の確定申告をしなくてもよいことは広く知られていますが、その対象は「給与所得を有する居住者」か「年金所得を有する居住者」に限られています(所得税法(以下「法」)121条1項、3項)。
つまり、誰かに雇用されている(給与所得者)か年金を受け取っている(年金受給者)であることが確定申告免除の基本的な要件になります。
したがって、そのいずれにも該当しない人(個人事業者、不動産所得のある人など)は、副業の過多にかかわらず本業・副業あわせて確定申告が必要になります。
よくあるのが、本人は「雇用されている」つもりでも、実際は雇用関係がなく「給与」ではなく「報酬」として仕事の対価が支払われている場合です。
この場合は給与所得者ではなく、個人事業者として確定申告が必要になりますので、ご注意ください。
では、確定申告不要制度を適用できるかどうか、いいかえれば副業について確定申告しなくてもよいかどうか、具体的な要件を確認してみましょう。
まず、給与所得者についてはその年の給与支給総額が2千万円以下であること、年金受給者についてはその年の年金支給総額4百万円以下であることが要件です。
この金額を超えていると、副業の所得金額の過多にかかわらず本業・副業あわせて確定申告が必要になります。
次に、給与・年金から所得税の源泉徴収がされていることが要になります。
一部でも源泉徴収されていない給与がある場合は副業も含めて確定申告が必要です。
「給与所得及び退職所得以外の所得」の合計額が20万円以下であること(法121条1項1号)。
ここにいう「給与所得及び退職所得以外の所得」には以下の所得は含まれません。
これらの所得は源泉徴収だけで所得税の課税が済んでいる特別なものです。
注意すべきは「給与所得及び退職所得以外の所得」の合計額はあくまでも「所得金額」の合計額であることです。
所得金額とは「収入金額」から「必要経費」を差し引いた金額のことです。
したがって、収入金額が何百万円あっても必要経費を引いた残りが20万円以下だったり赤字であれば確定申告は不要になるのですが、その「20万円以下」判定をするには、ちゃんと副業の収入金額と必要経費の額を把握しておく必要があるということです。
「収入金額」が20万円を超えそうなときは、必要経費のレシート・請求書をちゃんと保存しておきましょう。
「従たる給与の収入金額」と「給与所得及び退職所得以外の所得」の合計が20万円以下であること。
「従たる給与」とは主たる給与以外の給与(副業としての給与)という意味です。
主たる給与はもちろん、従たる給与についても支払者に「扶養控除等申告書」を提出している場合にこの要件で判定します。
「給与所得及び退職所得以外の所得」は上述同様に、収入金額から必要経費を引いた「所得金額」で、一定の所得の額を除いたものです。
つまり、ここでは従たる給与の「収入金額」とそれ以外の「所得金額」の合計で「20万円以下」判定をすることになります。
レベルの違うものを合算している点に違和感がありますが、法律上そうなっています(法121条1項2号イ)。
従たる給与の支払者に扶養控除等申告書を提出していない場合は、以下の要件で判定します。
すべての給与所得の収入金額の合計額から「雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額」を差し引いた金額が150万円以下で、「給与所得及び退職所得以外の所得」の金額の合計額が20万円以下であること。
「雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額」とは、次の控除額の合計のことです(法121条1項2号ロ)。
すべての給与の支給額合計が150万円以下で、かつ、「給与所得及び退職所得以外の所得」の金額の合計額が20万円以下であれば確定申告不要です。
すべての給与の支給額合計が150万円を超えるときは、上記10種類のうち該当がある控除額を引いてみて「150万円以下」判定をする必要があります。
そこで150万円を超えるなら確定申告が必要です。
150万以下になるなら、「20万円以下」判定にすすみます。
従たる給与の支払者に「扶養控除等申告書」を提出していないと、ちょっと確認の手間が増えます。
ご自分で社会保険料等を支払っている場合は、その領収書などをちゃんと保管しておきましょう。
年金以外の所得の合計が20万円以下であること(法121条3項)。
年金をもらいながら仕事をされている人は、その仕事の「所得」を計算してみる必要があります。
仕事の「収入金額」が20万円を超えそうなときは、必要経費のレシート・請求書をちゃんと保存しておきましょう。
給与から源泉徴収されている所得税額は一般的に「多めに」徴収されています。
それを年末最後の給与の支払い時に、本来納めるべきその年の所得税額(年税額)との差額を控除したり戻したりして確定申告した場合とぴったし同じの税額になるように調整するのが「年末調整」です。
しかし、年末調整は万能ではありません。
住宅ローン控除のように2年目以降年末調整で対応してもらえる特殊な控除を除き、給与計算とは無関係な所得控除(自分で直接納めた社会保険料、医療費などの控除)は自分で確定申告しなければメリットを受けられません。
そこで、本来確定申告が不要な人でも、年末調整で対応できていない控除を適用して所得税の還付を受けるために、確定申告をすることも認められています(法122条)。
ただし、この制度にもいろいろ誤解されているところがあります。
よくあるのが「確定申告すれば支払った医療費が返ってくる」という誤解です。
所得控除は課税所得(税額を計算するときに税率をかける相手)の計算する過程で控除できる項目ですから、医療費控除の税務上のメリットは控除額に税率を乗じた金額になります。
たとえば、税率20%の人が医療費を5万円控除できた場合のメリットは1万円です。
5万円が返ってくるわけではないんです。
しかも医療費控除は、実際に支払った医療費が一定額(所得に応じて計算)を超えた場合に、その超えた金額を控除する仕組みになっていますので、払った医療費が「一定額」に達していない場合は、医療費控除は使えません。
さらに、医療費控除が使えても、控除できる金額は控除前の所得金額が限度になりますから、結果的に支払った医療費の大部分が控除できずに切り捨てになることもあります。
税理士会の確定申告相談会に来て初めてこの仕組みを知り、ガッカリして帰って行かれる方をずいぶん見かけました(昔のことですけど)。
ここまでが所得税(国税)のおはなしです。
所得税の確定申告をすると、住民税(地方税)に関する事項もまとめて申告できるので、わざわざ「住民税の確定申告書」を提出する必要はありません。
しかし、住民税には所得税のような「20万円以下」判定による確定申告不要制度がないので、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の確定申告が必要になるのが原則です。
収入が公的年金等のみの場合は、各自治体が年金支払額を把握しているので、確定申告がなくても住民税の課税ができるので、住民税の確定申告をしていなくても問題になることはないです。
公的年金以外に収入がある場合、公的年金以外に収入はないけれども医療費控除などを適用すれば住民税を節税できそうな場合には、住民税だけの確定申告をすべきです。
そのため、税理士会によっては、住民税の確定申告をしなくてすむように、所得税の確定申告が不要な場合でも、あえて所得税の確定申告書を提出するよう指導しているようです。
もっとも、確定申告不要だけども、申告納税額計算してみると納税になる方もいます。
その場合は、原則通り所得税は申告せず、住民税だけの確定申告書を市町村役場に提出する方が「お得」です。
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森永ムーンライトには牛乳があいます。
最近のお気に入りは明治の「おいしい牛乳」です。