Takashi Yamaguchi, English Speaking Japanese Tax Accountant

確定申告にまつわる素朴な疑問(2)

前回に引き続き、確定申告書を作成する途中でちょっと考えてしまいそうな「素朴な疑問」についてお話しします。

どこの税務署に提出する?

現住所を管轄する税務署に提出します。
その他の税務署に提出できる特例もありますが、本来の提出先である税務署に事前に届出をしておく必要があります。
住所地の管轄税務署はこちらから郵便番号・住所で検索できます。

申告書に記載するはいつの時点の住所?

平成30年分の所得税の確定申告書には「住所」と「平成31年1月1日の住所」を記入する欄があります。
「住所」には確定申告書を提出する日における住所を記載します。
「平成31年1月1日の住所」と「住所」が同じ場合は、「平成31年1月1日の住所」には「同上」と記入します。異なる場合は、当時の住所を記載します。

失業給付金の収入も申告すべき?

「失業手当」や「失業給付金」と呼ばれる雇用保険制度に基づく基本手当は、そもそも所得税法にいう「所得」にあたりませんから、申告に含める必要はありません。
配偶者控除・扶養控除の判定にあたっても「所得」にカウントされません。

ちなみに、「所得」にカウントされても政策的配慮から非課税になるもの(非課税所得)は所得税法9条に定めがあります。
ノーベル賞の賞金もこの規定(第1項13号ホ)により非課税になっています。

保険金の受け取りも申告すべき?

これは被保険者(保険をかけられた人)、保険料の負担者(保険料を実際に支払った人)、保険金の受取人の関係により決まります。
すべてがご自身の場合は、所得税の課税対象になりますので、申告が必要です。
それ以外の場合は、所得税の申告は不要ですが、金額によっては贈与税・相続税の申告が必要になることがあります。

詳しくは、こちらをご参照ください。

医療費の合計が10万円以下の場合は医療費控除できない?

「医療費控除は支払額が10万円を超えないととれない」とおっしゃる方がいますが、これは正しくありません。
正確には「所得金額の合計の5%と10万円のいずれか少ない金額」がハードルになります。
したがって、所得金額が200万円未満の場合は、医療費合計が10万円以下でも医療費控除をとれる可能性があります。

ちなみに、セルフメディケーション税制のハードルは12,000円と低額に固定されています。医療費控除のハードルを超えられなくても、市販薬の購入代金が12,000円を超えれば、セルフメディケーション税制の控除をとれます(上限88,000円)し、医療費控除のハードルを越えているときは、市販薬(治療目的で購入したものに限る)の代金も治療費として医療費控除の対象にできますから、薬局のレシートは取っておくに越したことはありません。

家族分の社会保険料も控除できる?

生計を一にする家族(配偶者・扶養親族)の保険料を世帯主が支払った場合は、家族分の保険料も控除証明書を添付することで、世帯主の所得から控除できます。

社会保険料の控除証明書はどこまで必要?

国民年金や国民年金基金の支払いにかかる社会保険料控除の適用を受けるときは、原本の控除証明書を提出する必要があります(電子申告の場合は提出省略)。

国民年金や国民年金基金以外の社会保険料については、控除証明書そのものが発行されるとは限りませんので、控除証明書の添付は必要なく、金額を記入するだけでよいとされています。
したがって、1月1日から12月31日までに実際に納付した保険料を自分で確認して記入する必要があります。
具体的には、現金払いなら納付済書、銀行引落なら通帳、わからなくなってしまった場合には、市区町村に電話で問い合わせることになります。

配偶者が特別徴収された社会保険料を控除できる?

介護保険料などの社会保険料が、あなたの配偶者の公的年金から特別徴収されている場合、その社会保険料を支払ったのは配偶者ということになります。
したがって、あなたが支払った社会保険料には含まれず、あなたの社会保険料控除の対象にはなりません。
一方、平成21年4月以降の保険料については、市区町村等へ一定の手続を行うことにより、年金からの特別徴収に代えて、口座振替により保険料を支払うことが選択できることとされました。この場合には、口座振替によりその保険料を支払った方(被保険者又は被保険者と生計を一にする配偶者その他の親族に限る)の社会保険料控除の対象になります。

前払いした社会保険料の控除はどうなる?

国民年金を2年分前納した時、2年分の保険料の全額を、納めた年に控除することも可能ですし、各年分の保険料に相当する額をそれぞれの年に分けて控除することもできます。
控除証明書はあらかじめ各年別に分割されて送付されてくるので、申告の際にどちらかを選んで添付することができます。
参考:https://www.nenkin.go.jp/faq/kokunen/seido/kojoshomei/20180221.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください