普通法人か公益法人か、大法人か中小法人か…など、法人の種類や規模によって法人税の計算にあたって適用できる制度が違ってくることがあります。
ご自分の法人がどの区分に該当するかを知れば、申告ミスを防ぐだけでなく優遇税制を積極的に活用することもできます。
ということで、今回のテーマは法人税法上の法人の区分です。
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法人のうち公共法人、公益法人等、協同組合等以外のものをいいます(法人税法(以下「法法」といいます。)2条9号)。
最も基本的な法人の区分といえるかもしれません。
一般的な会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社)はもちろん相互会社や特別法に基づいて設立される法人(監査法人、税理士法人、弁護士法人、司法書士法人など)も普通法人に含まれます。
法人ではない「人格のない社団等」は普通法人には含まれませんが、代表者又は管理人の定めがある場合は法人とみなされて法人税法の規定が適用され(法法3条)、普通法人同様に法人税の申告義務を負うことになります。
以下の法人をいいます(法法66条6項2号)。
税法に定義はありませんが、法人税の軽減税率(法法66条2項)が適用される以下の法人を「中小法人」と呼ぶのが一般的です。
資本金・出資金の額は各事業年度終了時点で判定します。
この「中小法人」に該当すると各事業年度の所得金額のうち年800万円以下の部分について法人税率が軽減されます(原則23.2%→19%に軽減→さらに特別法で15%に軽減)。
ただし、「中小法人」に該当する法人であっても、大法人による完全支配関係下にある場合(100%子会社)など一定の場合は、法人税率の軽減は受けられません(法法66条6項)。
大法人のグループ会社を優遇するつもりはないということのようです。
「試験研究を行った場合の法人税額の特別控除」という優遇税制(租税特別措置法(以下「措法」といいます。)42条の4第8項7号)の適用対象法人として規定されています。
具体的範囲は、租税特別措置法施行令(以下「措令」といいます。)27条の4第12項に以下のように定められています。
「中小法人」(法法66条2項)のうち常時使用する従業員の数が1000人以下の法人。
ただし、以下のいずれかに該当する法人(適用除外法人)は「中小企業者」には含まれません。
前述のように、中小企業者に関する規定の中で「大規模法人」が定義されています。
具体的には以下のような法人をいいます(措令27条の4第12項1号)。
以下のいずれかに該当する法人をいいます。
ただし、「中小企業投資育成株式会社」、いわゆる政府系ベンチャーキャピタルは、上記に該当していても大規模法人には含まれないことになっています。
したがって、大手政府系ベンチャーキャピタルが大株主になっている中小法人でも従業員数1000人以下なら中小企業者に該当します。
中小企業者(適用除外事業者を除く)または農業協同組合等で青色申告書を提出するものをいいます。
「中小企業者等」に該当すると以下の中小企業等支援税制(いわゆる「3点セット」)の適用を受けることができます。
優遇税制によって支援すべき企業を絞り込むため、所得金額が大きい法人を「適用除外法人」として除外し、青色申告法人に限定しています。
<適用除外事業者>
中小企業者から除かれる「適用除外法人」=大規模法人の傘下法人とは別の定義です。
簡単にいうと、直近の前3事業年度(基準年度)の所得金額の平均が年15億円を超える法人のことです(措法42条の4第8項8号)。
独立系の中小企業者といえども、大規模法人並みに稼げるなら優遇措置を不要と考えているようです。
<農業協同組合等>
以下の法人をいいます(措法42条の4第8項9号)。
農業協同組合、農業協同組合連合会、中小企業等協同組合、出資組合である商工組合及び商工組合連合会、内航海運組合、内航海運組合連合会、出資組合である生活衛生同業組合、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、森林組合並びに森林組合連合会。
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「中小法人」「中小企業者」「中小企業者等」、「大法人」「大規模法人」、「適用除外法人」「適用除外事業者」とか似たような言葉がでててきました。重なり合う部分があるにしてもそれぞれ意味が違いますのでご留意ください。
法律用語って注意して読まないと間違えの原因になるので油断できません。