Takashi Yamaguchi, English Speaking Japanese Tax Accountant
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源泉徴収について(3)

前回からの続きです。

ヤマグチもかつての勤め先で源泉所得税の調査を何度か経験していますが、非居住者との取引についてずいぶん調査官と議論しました。

国外送金は念入りに調べられる

特に租税条約締約国の居住者に対する支払の場合は大変でした。
条約が国内法(所得税法)に優先して適用されるため、国内法と別個に条約規定の解釈が必要になることがあるのですが、その解釈をめぐる見解が統一できていない分野に該当すると、「どうしてこの条約のこの条項にこういう文言が使われているかというと…」みたいなそもそも論にまで遡った議論が必要になったりもします。
条約による特典を受けるための手続も複雑です。
条約は国内法に優先するのだから、国内法に基づく形式的な手続要件を欠いたとしても、条約の特典を受けることができるという考え方もあり、国内手続の不備を理由に日本の課税庁が他国との条約の適用を否認できるかという論点もあります。

手探りでもやらなければならない

源泉徴収の実務の難しさは、源泉徴収の対象とされている既存の取引と類似する新たな取引形態が次から次へと出てくることにあります。
国は法令を改正して新たな取引を源泉徴収の対象にしようとしますが、どうしても後手に回らざるを得ません。
そうすると、納税者や税理士から「何でこれはダメで、あれはいいの?」とか、「法律に規定されていないのに似ているというだけで源泉徴収の対象にするのか?」とかツッコミが入ることになるので、現場の調査官の方々も大変だと思います。

でも、一番大変なのは、そんな状況下でも源泉徴収もれがあればペナルティーをくらう立場に立たされている源泉徴収義務者です。
実態が同じなら同じだけ課税するという「課税の公平性」の確保は大切ですが、その建前のもとに法改正なしに「ペナルティーが怖いからとりあえず源泉しとくか…」というように国民を委縮させれば、「租税法律主義」という大原則が崩れます。
立法が遅れている分、不納付加算税を賦課基準をもっと弾力的に運用するとか、源泉徴収に関する問い合わせ窓口を充実させるとか、行政にがんばってもらえないものかと思う今日この頃です。

このシリーズ「源泉徴収について」は今回で終わりです。
ご精読ありがとうございました。

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