Takashi Yamaguchi, English Speaking Japanese Tax Accountant
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長期滞在者の確定申告

非居住者が日本に長期滞在すると日本での課税関係に影響します。
場合によっては所得税の確定申告が必要になります。
一時帰国のはずが日本に長期間滞在することになった海外駐在員の方、短期出張の予定が延び延びになっている外国人の方、ご注意ください。

「非居住者」が「居住者」になってしまう⁉

「非居住者」とは居住者以外の個人をいいます(所得税法(以下「所法」)2条5号)。
「居住者」とは国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人のことです(所法2条3号)。

所得税法には「住所」・「居所」に関する定義がありませんので、民法などの民事一般法に従って解釈することになります。
生活の本拠が「住所」、生活の本拠とまではいえないけれど相当期間継続して人が居住する場所が「居所」だと一般的に考えられています。
「居住する」という言葉も解釈に幅がありますが、起臥寝食(プライベートな生活)を営むという程度にお考えいただければと思います。

この「居所」を国内に1年以上有すると、それまで非居住者であった人も、それ以降は「居住者」として所得税法が適用されます。
つまり、住所が海外にある個人でも、1年以上日本で生活を継続していると「居住者」扱いになるのです。
たとえ「自宅」といえる場所がなくても知人宅、ホテルに長期滞在するとそこが「居所」にあたる可能性があります。ご注意ください。

非居住者が居住者になると課税関係はドラスティックに変わります。
詳しくはこちらのブログをご参照ください。

短期滞在者免税が適用できない⁉

では、日本に1年以上居所がなければ大丈夫かというと、そうとも限りません。
ビジネス目的で日本に長期滞在する方は、居住者扱いを免れても(非居住者のままでも)課税関係が変わることがあります。

会社員である非居住者が出張等で来日し、国内で仕事をすると、会社から支給される給与のうち国内勤務に対応する部分について日本の所得税が課税されます。
ただし、その会社員の居住国が日本と租税条約を締結しており、かつ、その条約に
「短期滞在者免税」規定がある場合は、所得税が免除される可能性があります。
免税要件の一つである「短期」の定義は各条約によって異なりますが、年183日内を「短期」とする条約が主流です。
この租税条約が定める「短期」を超えて日本で仕事をすると、原則どおり日本でも給与に所得税が課税されます。
詳しくはこちらのブログをご参照ください。

最近は、一時帰国した日本企業の海外駐在員の方がコロナ禍の影響で赴任国に戻れず、短期滞在者免税の要件を満たせなくなるのではと心配する声も聞こえてきます。
短期滞在者免税について特別措置を講じるには、条約締約国間の交渉が必要ですが、いまのところ(2020年8月2日現在)そういった動きはなさそうです。
所得税法などの国内法を改正して非居住者の給与所得課税に特例を設ける動きもありません。
このままだと、今年から来年にかけて日本で給与所得が課税される非居住者が増えるかもしれません。

課税方法

居住者・非居住者のいずれ該当するかによって課税のされ方も違います。
また、所得の種類、日本での源泉徴収の有無によっても確定申告の要否が変わってきます。
例えば、短期滞在者免税を受けられない非居住者の給与所得については、給与が国内払いで源泉徴収されていれば、自分で所得税の申告はしなくてすみます。
同じ非居住者の給与でも、国外払い、または国内払いだけど源泉徴収されていないときは、自分で申告しなければなりません。

課税上のステータスが非居住者から居住者に変わると、個々人の事情(日本の国籍の有無、過去10年以内に居住者であった期間が通算5年以下であったかどうか、など)によって課税パターンは様々になります。気になる方はこちらのブログもご覧になってみてください。

申告期限に注意!

所得税は暦年単位で課税されます。
確定申告が必要な場合は、その年の翌年3月15日までに税務署に確定申告書を提出します。
ただし、以下の個人については年の途中で申告が必要になりますのでご留意ください。

年の途中で居所を廃止した非居住者

国内に居所を有していた期間が1年未満の非居住者が、居所を廃止して出国した場合は、その廃止の日までに国内で生じた所得について申告・納税します。
申告納期限は居所を廃止した日です。
ちなみに、国内に居所を有していた期間が1年以上となる場合は、その後は居住者になりますので、そのまま年を越す場合は、居住者として翌年3月15日までに申告・納税すればOKです。

年の途中で出国した居住者

出国の日までに国内で生じた所得について申告・納税します。
申告納期限は出国の日です。
ただし、出国の日までに「納税管理人」を選定して税務署に届け出ている場合は、納税管理人を通じて翌年3月15日までに申告できます。
この場合に、出国後もその年に日本国内で生じた所得があり、非居住者として所得税の申告が必要なときには、出国日までの所得(居住者期間分)とあわせて翌年3月15日までに申告できます。
国内に1年以上居所を有していたために年の途中で居住者になった非居住者が、同じ年に居所を廃止して出国する場合も、出国までに税務署に納税管理人の選定を届け出ておけば、納税管理人を通じて翌年3月15日までに申告できます。

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年の途中で申告が必要な場合は、事前に準備しておかなければ期限内の申告は不可能です。
特に、非居住者が年の途中で居所を廃止して出国する場合は、出国前に納税管理人を税務署に届け出ていても、出国の日までに申告しなければなりませんので、相当前から申告の準備を進めておく必要があります。

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