Takashi Yamaguchi, English Speaking Japanese Tax Accountant
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身内に払う給与

前回のブログ「事業的規模の不動産の貸付け」でちょっとだけ触れた「事業専従者の給与等」。
これまでちゃんと解説したことがありませんでした。

ということで、今回のテーマは「身内に払う給与」の税務上の取扱いです。

個人事業者の場合

原則

事業者が生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給料やその他の対価は、必要経費に算入されないのが原則です(所法56)。
ここにいう「親族」とは6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族のことです(民法第725条)。
「配偶者」とは自分からみた婚姻関係の相手方、つまり奥さん、旦那さんのことです。事実婚、いわゆる内縁関係にあるパートナーは含まれません。
「血族」とは親子・兄弟姉妹など血縁関係のある人たちです。
6親等内の血族には以下の方々が含まれます。
 
  1. 父母、子
  2. 祖父母、孫、兄弟姉妹
  3. 曽祖父母、曽孫、伯叔父母、甥姪
  4. 高祖父母、玄孫、兄弟姉妹の孫(姪孫、大甥・大姪)、従兄弟姉妹(いとこ)、祖父母の兄弟姉妹(大おじ・大おば)
  5. 五世の祖、来孫(五世の孫)、兄弟姉妹の曽孫、従兄弟姉妹の子(父母の大甥・大姪)、父母の従兄弟姉妹(祖父母の甥姪)、曽祖父母の兄弟姉妹
  6. 六世の祖、昆孫(六世の孫)、兄弟姉妹の玄孫、再従兄弟姉妹(はとこ)、従兄弟姉妹の孫(伯叔父母の曾孫)、祖父母の従兄弟姉妹(曽祖父母の甥姪)、高祖父母の兄弟姉妹
「姻族」とは配偶者の血族、または自分の血族の配偶者のことです。
3親等内の姻族とは以下の方々です。
 
  1. 配偶者の父母(舅・姑)、父母の再婚相手(継父母)、子の配偶者(嫁・婿)、配偶者の子(配偶者の前婚における子など)
  2. 配偶者の祖父母、祖父母の再婚相手(父母の継父母)、継父母の父母、配偶者の兄弟姉妹(小舅・小姑)、兄弟姉妹の配偶者(兄嫁・姉婿・弟嫁・妹婿)、継父母の子、孫の配偶者、配偶者の孫(配偶者の前婚における孫など)、子の配偶者の子(子の配偶者の前婚における子など)
  3. 配偶者の曽祖父母、曾祖父母の再婚相手(祖父母の継父母)、祖父母の再婚相手の父母、継父母の祖父母、配偶者の伯叔父母(舅・姑の兄弟姉妹)、伯叔父母の配偶者(おじ嫁・おば婿)、継父母の兄弟姉妹、祖父母の再婚相手の子、配偶者の甥姪、甥姪の配偶者、兄弟姉妹の配偶者の子(前婚における子など)、継父母の孫、曽孫の配偶者、配偶者の曽孫(配偶者の前婚における曽孫など)、子の配偶者の孫(前婚における孫など)、孫の配偶者の子(前婚における子など)

特例

上記の原則に対する特例として、青色申告者の場合は「青色事業専従者給与」(所得税法57条1項)が、それ以外(白色)の者の場合は「事業専従者控除」(所得税法57条3項)の規定があります。
いずれの場合も「事業専従者」=専ら事業に従事している配偶者・親族がいる場合の特例です。
原則として、その年を通じて6月超事業に従事することが「専ら」の要件です(所得税法施行令165条1項)。

青色事業専従者給与

以下の要件をすべて満たす給与であれば、実際に支払われた金額を(税務署長に届け出た金額の範囲内で)必要経費に算入できるという特例です。
 
  • 青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢15歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む事業に従事するもの(青色事業専従者)に対する給与であること。
  • その金額が、その労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度、その事業の種類及び規模、その事業と同種の事業でその規模が類似するものが支給する給与の状況その他の政令で定める状況に照らしその労務の対価として相当であると認められること。
  • 最初にこの特例の適用を受けようとする年の3月15日まで(その年1月16日以後新たに同項の事業を開始した場合には、その事業を開始した日から2月以内)に、その配偶者その他の親族の氏名、その職務の内容及、給与の金額、支給時期など一定の事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出していること。

事業専従者控除

実際にいくら支払ったかにかかわらず、一定額を必要経費とみなす特例です。
適用にあたっては、確定申告書にこの特例の適用を受ける旨およびこの特例により必要経費とみなされる金額に関する事項の記載が必要です。
 
居住者と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢15歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む事業に従事するもの(事業専従者)がある場合には、その居住者のその年分の当該事業に係る所得の金額の計算上、各事業専従者につき、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額が必要経費とみなされます。
 
  1. 次に掲げる事業専従者の区分に応じそれぞれ次に定める金額
    イ その居住者の配偶者である事業専従者 86万円
    ロ イに掲げる者以外の事業専従者 50万円
  2. その年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額(この項の規定を適用しないで計算した場合の金額とする。)を当該事業に係る事業専従者の数に一を加えた数で除して計算した金額

法人の場合

役員給与

法人の役員になっている経営者・その親族に対する給与は損金にならないのが原則です。
一定の要件を満たす場合に限り損金に算入できます。
詳しくはこちらのブログ「役員給与の損金不算入」をご参照ください。

使用人給与

役員になっていない者、すなわち法人の使用人に対する給与は、原則として損金に算入できます。
経営者が単なる使用人として法人に勤めているケースはまずないと思いますが、その親族が使用人として勤務し、法人から給料をもらっていることはよくあります。
この場合に注意すべきは、たとえ正式に法律上の役員(会社法上の取締役など)としての地位に就いていなくても、実質的に法人の経営に従事している者がいれば、法人税法上は「役員」として取り扱われるということです。
特に、経営者一族によって株式が保有されている会社(同族会社)に、その一族の子弟が使用人として雇用されているときは、要注意です。
具体的には、以下の要件をすべて満たす使用人が「役員」扱いになります(法人税法施行令7条2号、71条1項5号)。
 
  • 当該会社の株主グループにつきその所有割合が最も大きいものから順次その順位を付し、その第1順位の株主グループ(同順位の株主グループが2以上ある場合には、その全ての株主グループ。イにおいて同じ。)の所有割合を算定し、又はこれに順次第2順位及び第3順位の株主グループの所有割合を加算した場合において、当該役員が次に掲げる株主グループのいずれかに属していること。
    (1) 第1順位の株主グループの所有割合が100分の50を超える場合における当該株主グループ
    (2) 第1順位及び第2順位の株主グループの所有割合を合計した場合にその所有割合がはじめて100分の50を超えるときにおけるこれらの株主グループ
    (3) 第1順位から第3順位までの株主グループの所有割合を合計した場合にその所有割合がはじめて100分の50を超えるときにおけるこれらの株主グループ
  • 当該役員の属する株主グループの当該会社に係る所有割合が100分の10を超えていること。
  • 当該役員(その配偶者及びこれらの者の所有割合が100分の50を超える場合における他の会社を含む。)の当該会社に係る所有割合が100分の5を超えていること。
例えば、経営者が大株主(自分だけでなく他の大株主も含む)の家系から子弟を使用人として雇い入れた場合です。
一般の使用人と同じように働かせているうちは問題ありませんが、自分の後継者として育成しようと考えて、使用人のまま経営上の判断を必要とする職位を経験させたり、実質的に経営者の名代として働かさているような場合は、「役員」扱いとなり、その給与が損金算入できなくなることがあります。
 
***
私はサラリーマン家庭で育ちましたので、子供のころ家がお店をやっている友達をうらやましく思うことがありました。
でも、大人になって家業を継いだ友人の話しを聞くと、家族といえども、働いてくれた分はちゃんとお給料を払ってあげたい、もらいたい、と思いながらも、それを実現するのはなかなか難しいそうです。
サラリーマンとは違った苦労があるんですね。

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