Takashi Yamaguchi, English Speaking Japanese Tax Accountant
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確定申告不要制度と個人住民税の申告

所得税の確定申告シーズン前のこの時期になると、確定申告が必要かどうか気になる方からのお問い合わせが増えてきます。
去年のブログ「確定申告にまつわる素朴な疑問」でも確定申告の要否についてご紹介させていただきましたが、今回はその補足です。

103万円の壁に関する誤解

給与所得限定です!

一般的にパート収入が103万円以内なら所得税の確定申告は不要(いわゆる「103万円基準」)と知られていますが、これにも注意が必要です。
この103万円基準は給与所得者の場合に通用しますが、給与以外の収入には使えません。
一口に「パート」といっても、その働き方は様々です。
雇用契約に基づいて支払われるものは「給与」といえますが、委任、請負などその他の契約に基づくものは「事業所得」や「雑所得」という別の所得区分に該当します。
誰かに「雇われている」と思っていたら実は「個人事業者」ということはよくあります。

見分け方の一つは、勤務先から「給与所得の源泉徴収票」が交付されているかどうかです。
従業員を雇用する事業主・会社は、翌年1月末までにその年に給与を支給した従業員全員(退職者も含めて)に「給与所得の源泉徴収票」を交付することになっています(所得税法226条1項)。
受け取った収入について「給与所得の源泉徴収票」が出ていれば、それは「給与」だと考えて問題ないでしょう。
「給与所得の源泉徴収票」ではなく「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」をもらっている場合は、その収入は「給与」ではありません。

103=65+38

給与所得者の場合に支給額(収入金額)103万円を基準にする根拠は所得金額ベースで38万円を想定しています。
給与所得については、必要経費の概算額として「給与所得控除」が認められています。
その最低額65万円と、だれにでも認められる「基礎控除」38万円の合計が103万円なのです。

基礎控除以外の所得控除(社会保険料控除、生命保険控除、扶養控除、医療費控除など)がある場合は、収入金額が103万円をこえても所得金額が38万円以下になることがあります。
つまり、103万円はあくまでも申告が必要な収入金額の下限にすぎず、本当に申告が必要かどうかは所得金額が38万円を超えるかどうかを確認しない判断できません。

2020年以降は103=55+48

ちなみに、2019年まで基礎控除額は一律38万円でしたが、2020年以降は所得金額に応じて最高48万円(合計所得金額2,400万円以下)から最低0円(同2,500万円超)まで逓減する制度に改正されます。また、給与所得控除の最低額は55万円に下がります。
結果的に収入ベースで103万円という基準は変わりませんが、所得ベースに引き直した基準は48万円に上がりますので注意が必要です。

事業所得・雑所得の場合は38万円(48万円)

判定の基準は「収入金額」103万円ではありません。
受け取った収入が事業所得や雑所得の場合は、収入金額から必要経費の額を引いた残りの金額、すなわち「所得金額」が基礎控除額38万円(2020年以降は48万円)を超えるかどうかで判定します。
基礎控除額以下なら所得税の確定申告は不要です。
この場合の所得金額は、個別の契約単位ごとではなく、すべての収入の合計金額から、その収入を得るために要した経費を差し引いて求めます。
例えば、事業所得の他に保険金収入などの雑所得があれば、それらを合算した額が38万円または48万円以下かどうかで判定します。

給与所得者・年金受給者の副業は20万円

給与所得者・年金受給者が副業をしている場合も副業によって得られた所得金額で判定します。
副業の所得金額(収入金額ではありません)が20万円以下なら所得税の確定申告は不要です。
ただし、2か所以上から給与の支払を受けていた人の場合は、この20万円基準だけでは判定できません。
ちょっと(かなり?)複雑になりますので、詳しくはブログ「副業と確定申告」をご覧ください。

所得税の確定申告不要=住民税の申告が必要

所得税の確定申告書には「住民税・事業税に関する事項」という申告欄があります。
この欄に該当する事項を記入して税務署(国)に提出すると市区町村・都道府県への住民税・事業税の申告が不要になります。
この「住民税・事業税に関する事項」は国から住所のある自治体、さらには個人事業者が事業を行っている自治体へと順次情報が提供されることになっています。
所得税と住民税・事業税では課税所得の計算項目や非課税基準が異なるところがあり、所得税の申告が不要な人でも住民税・事業税が独自に課税されます。また、「住民税に関する事項」は、住民税だけでなく国民健康保険料の計算にも使われるため、市区町村にとって必ず必要になります。
そこで、所得税の確定申告をしていない人については、市区町村に住民税の申告をしてもらう必要があるのです。
と、いうものの、このことはあまり周知されておらず、所得税の確定申告が不要というだけで安心してしまい、自治体への申告をしていない人も多いようです。

ちなみに、住民税の申告はeLTAXでは対応していないため、申告書は手書き+郵送・持参で提出ということになります。

住民税申告書の書式は市区町村ごとに条例で決まっています。
東京都千代田区の場合はこんな感じです。

令和2年度特別区民税・都民税申告書_optimize

 

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年金受給者の方は、所得税申告不要→市区町村へ住民税申告というパターンになることをご存知な方が多いようです。私の父も知っていました(偉い!)。

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