Takashi Yamaguchi, English Speaking Japanese Tax Accountant
Tel/Fax : 03-6312-3320
営業時間 : 9:00 - 18:00 (月~金)

不用品売却と確定申告

オークションサイトをみると、いろんなモノが出品されています。
業者だけでなく個人が家庭の不用品を出品しています。
中には高値で売れて想定外のもうけを手にする人もいることでしょう。
最近そんな方から「それって所得税の申告が必要?」とご質問をいただきました。

生活用資産の譲渡

不用品の売却益の申告が必要かどうかは事情によります。
最初に考慮すべき事情は、売却したモノが「生活の用に供している資産」(以下「生活用資産」といいます)だったかどうかです。

原則は非課税

衣類、雑貨、家電などの生活用資産であれば売却して利益がでても、所得税は課税されません(所得税法9条1項9号)。ここまでが原則です。

課税される譲渡

ただし、生活用資産といえども、以下の資産のうち1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡によって得た利益は「譲渡所得」として所得税の申告が必要です(所得税法施行令25条)。

  1. 貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品
  2. 書画、こつとう及び美術工芸品

これらの資産を売却したときには1個・1組あたりの売値に注意してください。
売値が30万円を超えている場合は、もともとの買値を調べて儲かったのか、損したのかまで確認しましょう。儲かっていれば、所得税の課税対象に含まれます。

なお、生活用資産のうち課税されるモノは上記のように法令に限定列挙されていますので、それ以外の生活用資産の譲渡はすべて非課税です。
例えば自家用車は列挙された資産の中にありませんので、いくらで売ろうが非課税です。
もっともクラッシックカーのように「こっとう」扱いになるクルマは課税対象になりますので注意してください。

事業用資産の譲渡

一方、個人事業者の方が事業に供していた資産(以下「事業用資産」といいます。)を譲渡した場合は、所得税の申告が必要です。
申告する際の所得区分は「事業所得」ではなく「譲渡所得」になります。
生活用資産と違って非課税制度はありません。

事業用資産の譲渡についての詳細はこちらのブログをご覧ください

共用資産の譲渡

日常生活と事業の両方に使っていた資産を譲渡した場合は、それぞれの使用割合に応じてそれぞれの課税関係を考えます。
例えば、事業用使用割合が80%、家事使用部分が20%の資産を譲渡したときは、80%部分について事業用資産の譲渡として、20%部分については生活用資産の譲渡として取り扱います。20%部分(生活用資産の譲渡)については原則非課税(申告不要)ですが、譲渡した金額、譲渡したモノの種類によっては譲渡所得としての申告が必要になるかもしれません。

確定申告不要制度

給与所得者(=会社勤めをされている方)のうち会社で年末調整をしてもらっている方は、所得税の確定申告は不要です。
ただし、年末調整をしてもらった方でも、給与所得以外の所得金額が20万円を超えている場合は、すべての所得について所得税の確定申告が必要です。
先述のとおり生活用資産のうち一定のモノの譲渡による利益は所得税の課税対象になりますので、その利益の合計が20万円を超えているときは確定申告してください。

なお、この「20万円基準」は年末調整対象者の確定申告が必要かどうかを判断する基準にすぎませんので、確定申告する場合でも「20万円までは課税されない」という意味ではありません。
確定申告が不要であるにもかかわらず、医療費控除、ふるさと納税などの寄付金控除をとるためにあえて確定申告をする場合は、生活用資産の譲渡利益が20万円以下であっても、その利益を譲渡所得として申告する必要があります。

確定申告不要制度についての詳細はこちらのブログをご覧ください

消費税の課税関係

消費税の課税対象となる資産の譲渡は「国内において事業者が行つた資産の譲渡等」に限定されています(消費税法4条)。
また、「資産の譲渡等」とは 「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)」と定義されています(消費税法2条8号)ので、事業性のない資産の譲渡は課税対象外(不課税取引)になります。
生活用資産の譲渡は事業性のない資産の譲渡に該当するので消費税は課税されません。
消費税の課税事業者となっている個人事業者であっても、生活用資産の譲渡には事業性がありませんので消費税は課税されません。
ただし、先に所得税の課税関係で触れた「共用資産」については別途考慮が必要です。
事業用使用割合部分は「その性質上事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡」として課税対象になると考えられます。
一方、事業用資金を調達するために生活用資産(家事用資産)を譲渡しても、それは課税対象には含まれません(消費税法基本通達5-1-8)。

***

今回のブログで取り上げたのは「生活用資産」の譲渡です。
あくまでも自分が生活の用に使っていたものを譲渡した場合が前提なので、転売目的で購入したものを譲渡した場合は想定外です。
いわゆる「せどり」や「ドロップシッピング」は、事業性のある資産の譲渡ということで所得税・消費税の課税対象になります。
ご留意ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください